「国の教育ローン」とは、ご存知のように国民生活金融公庫(国民金融公庫・国金)が取扱っている、長期・固定金利の教育ローンです。
これまでは、世帯の年間収入が990万円以下(事業所得者は770万円以下)ならば、融資の対象となる学校に入学・在学する「子供の保護者」または「本人」が、大学や短大・高校、職業能力開発校や専門学校の学費として、利用することができました。
融資限度額は一人200万円まで、返済期間は最長10年の、社会人でも使える固定金利(年2.65% 平成20年7月11日現在利率)の進学ローンです。
嬉しいことに在学期間内であれば、元金返済の据え置きができます。
学校に通っている間なら卒業予定の年月までは、「利息のみ返済」とすることができるわけです(卒業後は元金+利息の合計返済となります)。
ただし、この場合の本人・社会人は「現役の」社会人、すなわち「会社勤めをしている正社員(パート・アルバイトは除く)」である必要があります。
成人していても学生本人には申請資格がないという点には、注意が必要です。
ちなみに契約社員・派遣社員でも申込みはできるようですが、「勤続年数」が融資の審査で要件として見られていますので、融資の承認金額への影響があるかもしれません。
さて、この国民生活金融公庫(国民金融公庫)、行政改革の一環ということで「株式会社日本政策金融公庫法」にもとづき、農林公庫・中小公庫・JBIC(国際協力銀行)と統合して、平成20年10月1日から「日本政策金融公庫」になります。
形態もこれまでの「特殊法人」から、「株式会社」になります(ただし、株式はすべて政府が保有し、いわゆる「民営化」されたのではないとの解釈です)。
イメージをつかむご参考としては、国民生活金融公庫のホームページのパンフレット(PDF)をご覧ください。
国の教育ローン 平成20年10月からここが変わる! の記事一覧
- 「国の教育ローン」の概要と、国民金融公庫。
- 「国の教育ローン」、日本政策金融公庫になった後の変更点。
- 「国の教育ローン」、新組織での「金利」「審査条件」の今後は?
- 「国の教育ローン」、審査に関わる見落としがちな注意点。
関連サイト 「通信教育(大学・高校・資格) その受講、ちょっと待って!」 もあわせてご覧ください。
さて、これまでの国民生活金融公庫(国民金融公庫)が手がけてきた「国の教育ローン」、平成20年10月以降は「日本政策金融公庫」の業務となるわけですが、私たちにどのような影響があるのでしょうか?
国民生活金融公庫(国民金融公庫)のホームページの説明によれば、「国の教育ローン」の別名である「教育資金融資」は承継されるものの、「貸付対象の範囲を縮小して」承継されることとなっています。
要するに、これまでどおりの条件ではご融資しません、多少変更しますよ、ということですね。
今回の統合も、ひっ迫する国の財政をスリム化するための「行政改革」の流れを受けて起きていることなので、驚くことではありませんが、どこがどのように貸付対象が変わったのかについては確認しておく必要があります。
具体的には、これまでは貸付(私たちから見た「融資」)の対象範囲は世帯の年間収入が990万円以下(事業所得者は770万円以下)という条件があるだけだったのですが、「この年間収入の上限金額が引き下げられ、しかも子供の人数に応じた金額設定」となりました。
ちなみにここでいう「世帯の年間収入」には、申込者の収入のみならず、配偶者のパート収入や同居父母の年金なども含まれるので注意しましょう。
具体的には、以下のようになります(カッコ内は、事業所得者の場合)。
| 子供の人数 | 給与所得者(事業所得者) |
|---|---|
| 1人 | 790万円(590万円) |
| 2人 | 890万円(680万円) |
| 3人 | 990万円(770万円) |
| 4人以上 | 「3人」の金額に、4人目以降の子供の人数1人あたり100万円ずつ 加算した金額(事業所得者の場合は、所得換算した金額) |
(注1) 「子供の人数」とは、申込者が扶養している子供の人数で、年齢・、就学の有無を問わない。
また、学生本人が申込者となる場合で子供がいないときは、上記の「子供の人数1人」の金額となる。
(注2) 「子供の人数」が2人以下で、世帯の年間収入が上記表の金額を超える場合でも、「世帯の年間収入が990万円(事業所得770万円)以内であって、次のいずれかに該当する場合」は申込が可能。
(1) 勤続(営業)年数が3年未満
(2) 居住年数が1年未満
(3) 返済負担率(借入金年間返済額/年収)が30%超
「国の教育ローン」、日本政策金融公庫になった後の変更点。 で記した内容が、平成20年10月以降「国の教育ローン」で加えられる変更点ですが、これ以外については特段のオフィシャルなアナウンスはありませんので、他の条件(つまり、返済期間・利率・返済方法など)についてはこれまでどおり...となっています。
したがって平成20年10月以降の申込みにあたっては、子供の数や世帯収入が新しい貸付の対象条件に収まっている限り、これまでと同じように考えておいてかまわないはずです。
なお、申込み時に必要な書類その他は、国民生活金融公庫(国民金融公庫)の全国各支店または最寄の金融機関に問い合わせるか、または電話で「教育ローンコールセンター」に請求して、詳細をご確認ください。
国民生活金融公庫 教育一般貸付 ご利用の手続き
国民生活金融公庫 「教育ローンコールセンター」のご案内
ただし、貸付の対象範囲やその他の貸付条件について、国内でも金利の上昇基調が強まりつつありますし、現在の状況がいつまでも続くかはわかりません。
「国の教育ローン」では、原則として金利の見直しは年2回(5月と11月)に行われますが、借入時の金利が固定され、返済終了まで適用されます。
今後の金利上昇リスクなどを考えると、この「国の教育ローン」に限って言うならば、早く行動するほうが、支払い総額面においても有利です。
銀行などの民間の金融機関の教育ローンは、金利タイプは固定、変動の両方が用意されているものの、限度額は300~500万円程度、返済期間は10年程度、金利は年4%~7%といったところが標準的なイメージです。
限度額こそ「国の教育ローン」より多いものの、金利の違いを考えるとまずは「国の教育ローン」や「日本学生支援機構(旧 日本育英会)」の奨学金から検討していくべきでしょう。
独立行政法人 日本学生支援機構
「国の教育ローン」を利用するにあたって、もっとも気になるのは、自分が審査に通るかどうか、あるいは融資される金額はいくらまで可能なのか、といったことでしょう。
この「国の教育ローン」、実際の申込書類の審査は、国民生活金融公庫(国民金融公庫)の支店以外にも、受託機関となる金融機関(銀行・信用金庫・信用組合・ろうきん・JAなど)の担当窓口が行っています。
メインバンクとして利用する金融機関の担当者を直接訪ねて、申込み書類をもらう段階で、色々と質問してみるのもよいでしょう。
審査の詳細についてはむろん教えてもらえないでしょうが、ある程度の方向感はわかると思います。
ちなみに保証については、(財)教育資金融資保証基金の保証、または連帯保証人(1名以上)のどちらかとなります。
前者の保証基金を利用する方が多いようですが、その場合は、保証料(年1.0%相当分)が融資金額から一括で差引かれますのでご注意ください。
審査の結果は、通常は申込みをしてから10日間~2週間程度で連絡がきます。
ただし、いわゆる春先の入学シーズンなどは申込みが多くなるため時間がかかる可能性もありますので、早めに申し込むほうがよいでしょう。
見落としがちなのは、学校へ入学する場合の「入学金の振込期限」です。
合格通知書の到着を待ってから申込みをしているようでは、融資がOKとなったにせよ手続き的に間に合いませんので、実務上は必要書類を合格通知書無しで(後から添付するということにします)金融機関窓口に提出し、審査を先行してもらいます。
合格通知書が届いた段階で、本契約するわけです。
ちなみに、社会人が資格試験など受験のため、会社を辞めて勉強に専念したいということで「国の教育ローン」の利用を考える場合は、「国の教育ローン」の概要と、国民金融公庫。 でも触れたとおり、申請資格の限定がありますので、退職後は本人としての申請ができなくなります。
このような場合は会社を辞める前に、審査および融資の実行まで受けておくべきです。
また言うまでもないことですが、ローンである以上、必ず約定どおりに返済していく必要があります。
自ら借りる場合はもとより、直接の借入者である保護者とよく相談・合意して、無理のない返済ができるよう返済計画を組む必要があります。
なんのためにローンを組んでまで勉強するのか?というモチベーションが、あなたの中で途中で萎えてしまうようでは、「借金の返済」という事実しかあなたや保護者の手もとに残らない...ということになりますので。
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